昔話 folk tale 2003 12 3

 日経平均株価に対する、地方銀行の国有化による影響は、少なかったので、
安心したという人が多かったでしょう。
しかし、安心するのは、まだ早いのです。
 なぜなら、銀行は、今となっては、
時代に取り残された「古い業界」になってしまった事実は、変わりないのです。
 古くなってしまった銀行業界を、
いかに、現代という時代に適合させるか。
まだまだ、改革への道は、なお遠い。
 今は昔、私は大学時代に、多くの友人と共に、
法的規制によって守られた業界を、規制緩和し、
競争原理を取り入れて、
自由な市場にすることによって、業界を発展させるには、どうするか。
そういう研究をしていました。
 要するに、社会主義国日本を、資本主義国日本に転換させることを研究していたのでした。
規制と官僚制度は、社会主義国を象徴しています。
この研究は、法律学と経済学が融合した分野でした。
 研究の対象となった業界は、銀行業界、建設業界、電力業界、通信業界、テレビ業界です。
こういう業界は、規制によって守られていて、古い業界になりつつあったのです。
 私たちのグループでは、こういうテーマを、よく研究した結果、
このような業界に就職する人は、誰もいませんでした。
先が見えていましたので、就職先としては、ふさわしくないと判断したようです。
 なかなか、日本の伝統芸能である「先送り」で、規制緩和が進みませんが、
今となっては、この話は、古き良き学友と語る「昔話」となりました。

 大学で学ぶ若者へ。
すでに完成した学問を暗記して、いい点数を取っても、
それは、学問とは言わない。
高校の延長に過ぎない。
 試行錯誤するかもしれないが、
自分で、自分の力で、自分の道を探すべきである。
 試行錯誤も失敗も、若者の特権である。
若者が、いくら試行錯誤しても、いくら失敗しても、
誰も、若者を非難しない。
 だからこそ、試行錯誤も失敗も、若者の特権である。
若者は、失敗を恐れる老人のような生き方をしてはいけない。
 さて、文科系の学生の、就職希望ランキングを見ると、
ランキングの上位に出てくる企業については、
投資家として、あまり、株を買いたくない企業ばかりです。
今の若者には、開拓者精神はないのでしょうか。
 今は、世界的に有名な大企業も、数十年前は、町工場でした。
今、私が大学生ならば、新興市場の企業を、就職先として、探します。
 ある時、企業の役員名簿を見ていて、
石炭産業の役員に、超一流大学の出身者が多いのに気づいて、
学友は、なぜですかと、教授に質問していました。
教授は、「あの当時は、石炭産業は、時代の花形産業だったのだ」と答えました。























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